かくれんぼ / 燐

ある晴れた日の昼間、あたしが昼寝をしていたらメールがきて目が覚めた。

そのメールの内容は

“かくれんぼしよーぜ”

としか書かれていない。

「…は? 何処で!てか何でこの歳でかくれんぼ!?」

あたしは燐の悪戯メールだな、って解釈をして再び布団に入った。

でも頭からあのメールの内容が離れない。

「もしかして一人でずっとあたしのこと待ってるの、かな」

布団から飛び出して燐を探しに行く。


公園や空き地を回ってみたが燐の姿はない。

「燐ー!どこに居るのー!」

あたしが燐を探す姿は周りから見たら、迷子の子供を探すお母さんだと思う。


「燐が行きそうなとこって、何処だろ…。あ、そうだ」

あたしはあるところに向かって走る。


それは、昔燐とよく遊んでいた神社だ。

階段を上がり鳥居をくぐって敷地へと入る。


「りーんー!」

いくら叫んでも返事はない。

あたしは木の陰をくまなく探すが燐の姿はない。


「り、ん…。何処なの…」

自然と目から雫が垂れた。

そしてお寺の階段に座っていると、お寺の中から寝息のようなものが聞こえてきた。

「ひっく…。誰か、居るの…?」

涙を服の袖で拭いて中のほうに目を向ける。

そしてゆっくり立ち上がり中へと足を進める。


「…あ、いた」

中では燐が幸せそうに寝息をたてて寝ていた。

「あたしが探しに来るの、此処でずっと待ってたんだ。ごめんね…」

燐の頬を軽く撫でると、燐がゆっくりと目を開いた。

「…ゆう?」

「燐、みーつけたっ」

ギュッと燐を抱きしめると、燐もあたしをギュッてしてくれた。

そして

「ゆう、捕まえたっ」

へらっと笑って燐があたしに言う。

「これってかくれんぼじゃないの?」

「は?かくれんぼって鬼が隠れてて捕まえるんじゃねーの?」


…こいつ。
かくれんぼやったことねーのかよっ!

何だよ鬼が隠れてて捕まえるって!

逆だよ逆!

「…ばーか。そろそろ帰ろっ」
「んあ、そーだな」

帰り道あたしたちは手を繋いで帰りましたとさ。


…やっぱりあたしは、燐が好きみたいっ。