可愛いですね / 塾生

うーん、暇。とりあえず暇。
最近忙しくてクラスの子達とも遊べてないからなー。
ほんと授業は暇。眠い。

学校の授業が終わったと思ったら今度は塾の授業。

ははは、学生を満喫してるぜ。

ちらっと燐を見ると首をコクンコクンと揺らしながら居眠りをしている。

その隣のしえみは先生が黒板に書いていることを必死に書き写している。

出雲ちゃんは頬杖をつきながらも先生の話を聞いてノートをまとめている。

宝くんはわたしの後ろだから全く見えない。さすがに後ろ向いたら注意されるし。

勝呂と子猫丸も真面目に先生の話を聞き、途中ノートをまとめる。

子猫丸の隣の志摩は…おいおいなんかヨダレ垂らしてんぞ。
また女の子の妄想でもしてんのかなあいつ。

なーんて暇すぎて人間観察をしていた。
案外人間観察も楽しいかも。


雪男はなんかあれだなー、同い年には見えないね、こうやって黒板の前に立ってると。

あっまた眼鏡くいってした!

…またやった!

と、雪男に関しては眼鏡をくいっとした回数を数えた。

ぼけーっと観察をしているうちにあっという間に授業が終わった。

みんな帰りの支度を始める。

わたしは席を立ち、雪男を追って教室を出る。

「あっ、雪男ー!さっきの授業内で眼鏡くいってした回数は32回だったよ!新記録おめでとう!可愛いですね」

「はい?…全く、今日は珍しく大人しいなとは思っていたのですがそんなくだらないことをしていたなんて」

「可愛いについてはスルーなんですね」

溜息をもらす雪男。

わたしは説教が始まるような予感がしたので急いでその場から逃げて教室に戻る。

「ひゃー危ない危ないっと」

すると帰ろうとしてドアの前に出雲がくる。

「ちょっと、帰るんだからそこ退いてくれない」

軽くゆうを睨みながら溜息をつく。

「出雲ちゃんって授業中は大人しくて凄く真面目で可愛い。そして通常運転の出雲ちゃんはツンデレで更に可愛い」

わたしがそう言うと「はぁぁぁ!?ちょっとアンタ何言ってんの!」なんて顔を赤くして帰っていった。

それ、それだよツンデレ可愛いよべりぐー!

そのまま入り口から京都組のいる机まで行く。

「勝呂ってほんっと不良みたいで勉強しなさそうなのに真逆で真面目だよね、抜け目ないというか。子猫さんは見た目からもう優等生オーラ出てるし!2人は真面目で可愛い!」

ビシッと2人を指差して言い切る。

「はぁ?何を言うかとおもたら何やねんそれ」

「えっ、えっとぉ…」

勝呂は呆れて、子猫丸は困惑していた。

「俺は俺は〜?どんな風にかわええ〜?」

にこにこしながら聞いてくる。

「えっと志摩はー…、よだれ」

「ちょ、何それ。俺だけ酷ない!?」

はっ、と志摩を鼻で笑う勝呂にわたしも釣られて笑ってしまう。

授業中によだれなんか垂らして妄想してるやつが悪い。
脳内だけじゃなく外見までピンクなんだもんな…。

あっ、俺の脳内はピンクですよって外見で知らせてんのか。

なんて能天気なやつなんだ。

勝呂よ、躾が足りないぞ。
ゆうは京都組の机から離れて燐としえみのところへ行く。

「よーよーお2人さん。しえみちゃんは必死に頑張ってる姿が可愛い。応援したくなる」

親指を立ててウインクをする。

「んで燐はー…寝顔が可愛い」

しえみはわたわたしつつも「あ、ありがとう」と笑顔で返してくれる。

燐は理解してないらしく頭の上にはてなマークを浮かべている。


なんかみんなそれぞれ可愛い一面があって見てて楽しい。

これからも観察は続けよーっと。