不良さんちーっす / 勝呂
はぁああーあ、眠い。
授業中に盛大な欠伸をするゆう。
「はぁ、ゆうさん ちゃんと授業に集中してください」
「へいへーいホクロてんてーごめんちゃい」
ウインクをして可愛さアピールを雪男にして見せたが逆効果のようできつく睨まれた。
へーんだ、別に雪男に睨まれたからって怖くねーし!
キーンコーンカーンコーン
「それでは、今日の授業はここまで」
あー、やっと終わった。早く帰ろー。
ゆうは帰り支度を始める。
「おい、お前やる気あるんか。ほっとんどの授業は上の空やし」
はい?わたしの授業スタイルに文句つける奴はどこのどいつだこのやろー。
わたしに逆らったこと後悔させてやるわ。
「あぁん?ちょと待ってちょと待っておにーさーん?」
目線をかばんから声のするほうに移すゆう。
「ひぃいいいいいい!!ごめんなさい!!!」
目線を移した瞬間目に入ったのはメッシュの入った頭にピアスをジャラジャラ付けた不良が目の前に。
びびったゆうは即座に頭を下げて謝る。
「あ?まぁ分かればええんや。授業くらい大人しく受けぇ」
「はっ、はいっ!!了解であります!!」
言うことを言うと不良さんは自分の席へ戻っていった。
かっ、かっけえ…!不良さんすんげーかっこいいっす!!
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教室の外へ出て勝呂が出てくるのを待つゆう。
「…あっ、きた!」
勝呂が2人の友達を連れて廊下を歩いてくる。
「あ、あの!ちょっといいすか兄貴!!」
「は、え、兄貴て何や?」
ゆうの突然の言葉に驚く勝呂。
「兄貴まじかっけっす!惚れたっす!なので兄貴の弟子にしてほしいっす!!」
勝呂に深く頭を下げるゆう。
「何でそないなこと急に言うてくんねん」
あかん、ほな帰るさかい。と言って帰っていく。
「坊のどこに惚れたんですえ?ただの不良やで?俺の方かっこええと思うんやけど連絡先交換せえへん?」
「志摩さん…」
ピンク頭がナンパをしてきたが華麗にスルー。
隣にいる小さい眼鏡の男の子は可愛いな。
ってそんなことじゃなくて!!
「2人とも兄貴のお友達だよね!??!兄貴の心をキャッチするにはどうしたらいいかな??!」
これはチャンス!このチャンス逃すわけにはいかない!!
「スルー上手いんやね」
苦笑する志摩。
「坊はこういう懐いてこられるんに慣れとらへんからあないな態度とるんやと思います」
「不器用みたいなやつ?どうしたら弟子にしてくれるんだろ…」
「ほんなら有言実行や。弟子のやるようなことしたらええねん」
思いついたかのようにピンク頭が言ってきたアイディアにわたしは、それだ!と乗ることにした。
〜次の日〜
ドアの前で勝呂が来るのを待つゆう。
勝呂の姿を見つけ猛ダッシュで前へ行く。
「兄貴!おはようございます!あっ荷物はわたしが持つっす!」
勝呂の荷物をぱっと持ち歩き始める。
「ちょ、お前何すんねん!ええから返せや!」
不服だが兄貴がおこぷんしているのでかばんは返すことにした。
「えっと、じゃあ…これ、兄貴のためにお弁当作ったっす。よかったら食べてほしいっす!」
「はぁぁ?別にこないなこと頼んどらへんし。要らんわ」
そのまま受け取らずわたしの横を歩き去る勝呂。
「あらら〜坊もほんま素直ちゃいますな〜。せっかくやし、俺がもろてもええです?」
にへにへと志摩が近づいてくる。
受け取ってもらえなかったショックでわたしは溜息をもらす。
「大丈夫ですえ。坊はああ見えて実はごっつ優しい人やさかい」
子猫丸の優しい笑顔に癒されダメージが軽減される。
「うん!ありがと!がんばる!」
2人に手を振りわたしは勝呂の元へ向かう。
廊下を走り勝呂を探すが見つからない。
おっかしいなーどこにもいないよー。
曲がり角を曲がった途端に人影に気付くが走っていたわたしは急に止まることが出来ず、そのまま正面からぶつかってしまう。
「おわっ!!??!」
ばたんっと尻餅をつきながら後ろに倒れるゆう。
「すまん、大丈夫か?」
「ごめんなさい、前見てなく…て……てっ!!??!」
目の前には優しくわたしに手を差し伸べてくれてる勝呂がいた。
「あ、あっああ、あの!」
わたしの手を掴み、身体を起こしてくれる勝呂。
起こしたらそのまま背中を向けて去っていく。
「今度から気ぃつけや」
勝呂の背中をずっと見つけるゆう。
「…やっぱすげーかっこいい」