貰い物には気をつけろ / メフィスト


「はぁぁぁ新学期早々お呼び出しだなんてツイてないなーわたしも可愛子ちゃんたちとお花見したかった〜〜」

廊下を重い足取りで歩きながら窓の外を見る。

そこには新しく入学してきた新入生を部活に歓迎しやうとしてる人達や、桜の木の下でゆっくりと過ごしている人達の姿がある。

わたしもつい数分前は、新入生の女の子を誘ってお花見をしようとしていた。

放課後を知らせるチャイムが鳴りゆうが教室を出ようとした矢先、携帯が鳴った。
それは1通のメールが届いたことを知らせるもの。

差出人は理事長のメフィスト。

『これからお時間を私に頂けないでしょうか?理事長室で待ってるので早急に来てくださいネ☆』

という内容のもので溜息を漏らしながらも理事長室へと向かっているということだ。
理事長がわざわざ連絡をしてくるってことは塾の事なんだろうけど面倒なんだよね理事長室まで行くのが。

15分程かけてやっと理事長室に着いた。

ーーコンコン
「失礼します、2年A組のゆうです」

ドアをノックしゆっくりと扉を開けると、そこには呑気にドーナツを食べて優雅にティータイムをしているメフィストの姿があった。

「おやおや、案外早かったですね。そこのソファーにどうぞお座りください☆」

いちいちウインクをしてくるメフィストにめんどくせ〜という顔をするゆう。

メフィストがパチンッと指を鳴らすと、ゆうの前にあるテーブルの上にドーナツと紅茶が用意された。

うおお、と目を輝かせドーナツを頬張るゆう。

「貴方を呼んだのは塾の事です」

やっぱりね、と思いながらぱくぱくとドーナツを食べ続ける。

「奥村先生から貴方の授業態度を改めてほしいと苦情がきましてね」

やれやれといった顔をしてゆうを見るメフィスト。

「態度はそんな悪くないんだけどなー雪男に対しては反抗期だけど」

「そのせいで私の方から注意して欲しいと言われましてここにお招きしたまでです☆」

「まぁドーナツ食べれたし良しとしよう」
「いえ、本題はこれですッ☆ 名付けて"奥村先生と仲直り大作戦☆"」

筒状に巻いていた紙をバーーッと開いて見せた。

「…っはぁ!??!!!何その作戦!!いや意味わかんないし、仲直りしないし」

目を見開き、その場に立ち上がって否定するゆう。

ククク、とメフィストは笑いだす。

「そんなんじゃいつまで経っても子供のままですよ?それでも宜しいのですか?」

メフィストの言葉にぴくっと耳を反応させた。

わたしが子供のままですって…?
いや、雪男よりも子供だなんて有り得ない。
わたしは雪男より年上なんだから…!!

「いいじゃん、その作戦乗る。何すればいいの」

ふんっと腕を組んでメフィストの作戦に応じる。

おーこれはこれは、と手をぱちぱち叩き楽しそうに笑うメフィスト。

「では、これを着て奥村先生に奉仕して来てくださいッ☆」

と、メフィストが出したのはメイド服。

それを見たわたしは目を丸くして「はぁぁぁ!?」と声を上げる。

「なーに、簡単な事です☆ おかえりなさいませ、ご主人様(ハート)などという台詞を言うだけで済むのですよッ」

ウインクをし、満面の笑みでゆうを見るメフィスト。

「……理事長さぁ、最近メイド喫茶行ったでしょ」
「おぉッ!分かりますか!そうなんですよ、そうしたら思いの外楽しくってハマってしまいました☆」

☆じゃねえよ…このピエロめ…。

ハマってるからってそんなのわたしにやらせないでよ…。

「…ったいに、」
「おやぁ?声が小さくて聞こえないですよ?」

唇を噛み締め、バッと顔を上げるゆう。

「絶対にメイド服なんか着ないからね!!」

そう言って理事長室を出て行くゆう。


「おやおや、困ったお人だ」

不敵に笑い窓の外に目をやるメフィスト。

「でも私は諦めませんからね」









女子寮の自室に着き、ベッドにダイブをする。

すると天井から1枚の紙がひらひらと落ちてくる。

それと取り、書いてある文字を読むと、


『私のドーナツをタダで食べれると思ったら大間違いです。ドーナツ分の事はして頂きますのでッ☆』

と書いてありちょうど読み終わった頃にゆうの真上からボンッと先程メフィストが持っていたメイド服が降ってきた。

「ちょ、わわっ!」

これはもう着なくてはならないと悟り、諦めてメフィストの言っていた通りにやることにした。

腑に落ちないが。

結局メフィストの言う事は絶対になってしまうのか。



もうアブナイ人から貰ったものなんか食べない。

そう心に誓うゆうであった。