MATSURI/2.3.6.8
「お待たせしてしまってすいません〜〜!」
「全然、オレたちもさっき終わったばっかだしな!」
「oh〜ワタシとても今ドキドキしてます。どんな屋台があるのか楽しみです!」
「そんじゃ行くか」
4人は商店街へ向けて足を進める。
商店街が近づくにつれて人が増え、ちらほらと浴衣を着ている人を見かけるようになってきた。
「あれがユカタというやつですね!ワタシも着てみたいです!」
「わたしもお祭りだし浴衣着たかったな〜。来年こそ浴衣着てお祭り参加だ〜!」
「そこの店浴衣の貸し出ししてるみたいだしみんなで着替えるか?」
「着替えるって、変装した意味なくねーか?でもなまえちゃんはせっかくの祭りだし浴衣くらい着たいよな」
「ならワタシたちの代わりに衣装チェンジでーす!」
「えっあのっ、」
ナギに背中を押され浴衣を貸し出しているお店へと入った。
店内にはいろんな種類の浴衣が並んでおり優柔不断ななまえはなかなか決まられない。
「あんたこういうの似合うんじゃない?」
深緑色ベースの浴衣に白と黄色の花が散りばめられた浴衣を持ってくる二階堂。
もう片方の手にはオレンジ色の簪が握られていた。
「初めて着る色なので似合うかどうか…でも自分じゃ決められなかったのでこれにします!ありがとうございます二階堂さん!」
二階堂から浴衣と簪を受け取り仕立て部屋へと店員さんと向かうなまえ。
仕立てられている間3人は店内の浴衣を流し見て時間を潰していた。
少しして着替え終わったなまえが仕立て部屋から出てくる。
下駄の音を立てて小走りで3人の元に戻って来る姿に3人は思わず釘付けになってしまった。
「oh〜!とてもお似合いです!ビューティフォー!」
「そ、そうですかね…?えへへありがとうございますっ」
六弥の言葉に頬を赤くして照れる。
「浴衣もだけど、その簪もめちゃくちゃ似合ってんじゃん!」
「ほんと、びっくりだな。さすがウチの事務所の期待の新人」
「和泉さんもありがとうございますっ。二階堂さんはそれ褒めてくれてるんですか」
「褒めてる褒めてる」
へらへらと笑いながらなまえの頭をぽんぽんと軽く撫で3人は店内を出る。
店から出て少し歩いたら屋台が見えてきた。
そのまま商店街に着き屋台を回る。
「わぁ〜〜端っこの屋台はたこ焼きだ〜〜!」
「反対端はわたあめだぜ!」
和泉となまえは目を輝かせながら周りを見渡す。
その横はかき氷だの、また横はじゃがバターがあるだのとわいわい歩く。
「オー・マイ・ゴッド!!何ということでしょう!!ここなが!!ここながこんなところに!」
「あ、ここなグッズのくじ引きの屋台かー。けどナギ、やめておいたほうがいいぞ、お前の欲しいグッズは当たらねーから」
「そんなことありません!ワタシのここなを想う気持ちは伝わるはずです!」
「だからやめろって!?想いだけじゃどうにもなんねーことだってあんだよ!」
ここなグッズのくじ引きの屋台の前でくじ引きをやるやらないで口論する和泉と六弥。
その2人を少し遠くで見ている二階堂となまえ。
「二階堂さん、あの2人止めなくていいんですか」
「あーまぁ、ミツがいるし何とかなるだろ」
「何ともならなさそうなんですが」
「まっ、俺らは俺らで回ろうぜ」
そう言って歩き始める二階堂。
「えっちょ、待ってくださいよ二階堂さん!?」
置いていかれないよう二階堂の後を慌てて追う。
ドンッ
「っっあだっ!…あっすいません!」
二階堂を追う際に勢いよく人の背中にぶつかってしまった。
鼻を抑えながら慌ててぶつかった人へと頭を下げる。
「別に大丈夫だ、頭をあげろ」
あれ、この声どっかで…と思いつつ顔を上げその人の顔を見ると、
「八乙女がっ」
「おまっ」
なまえはあまりの驚きでぶつかった相手の名前を大声で叫びそうになり、本人はそれに慌ててなまえの口を塞ぎ道の端へと連れて行った。
「おい、あのまま叫ばれたら身バレしてあの場が混乱するところだっただろ」
「すっ、すいませんでした…!」
「ちょっとあんた、ウチの子勝手に連れて行かないでもらってもいい?誘拐?」
「ち、違うんです二階堂さん!わたしがこの人にぶつかってしまって…!」
「…二階堂?…お前、IDOLiSH7の二階堂か?」
そう言って二階堂の顔をまじまじと見る。すると二階堂もその人が誰なのかはっきりと分かり、驚いた顔をする。
「あんた、何でこんなとこにいるんだ?」
「何でって、近くで仕事してて空き時間が出来たから寄っただけだ」
「とっTRIGGERがこの近くで仕事!?二階堂さんわたし野次馬して来てもいいですか!?」
「初めて見る顔だがこいつはお前のコレか?」
そっと小指を立てて二階堂へと問う。
「なわけ。ウチの事務所の新人。ほらあんたも野次馬じゃなくて祭り楽しみなさい」
「俺も同行させてもらう」
「いやいや一緒に歩いてたら目立つじゃないっすか」
「TRIGGERの八乙女楽さんとお祭りを回れるなんて…もういつ死んでもいい」
「なら今死ぬか?お兄さんがトドメを刺してやろうか?」
「やっぱり二階堂さんってそういう役似合いますよね」
「いいから早く行くぞ」
「何であんたが仕切ってるんすか」
うだうだ言いながらも3人で大通りに出て出店を回る。
「……ねぇ〜やっぱりあの屋台のとこにいたのってアイナナのナギくんと三月くんじゃない?」
「え〜〜そうかな〜〜?でもこんな人が集まるとこに来る〜〜?」
後ろを歩いている若い女の子たちから聞こえる会話が耳に入ってきた。
なまえは嫌な予感がして二階堂の服の袖を引く。
「ん、どうしたんだ?」
「和泉さんと六弥さんが危ないです」
そう言って来た道を引き返し、2人がいるであろう屋台へと小走りで向かう。
「あっ、おい馬鹿!」
それを見た二階堂も慌てて後を追う。
「お前ら俺を1人にするつもりか!?」
何故か更にその後を追う八乙女。
屋台付近へ着くと何だか人集りが出来ていて上手く進めなくなった。
身長的にジャンプをしないと前が見えない。
「あんた浴衣着てよくそんな走れるのな。…っておい、あれやばくねぇか」
二階堂の顔がどんどん曇っていくのがわかった。
「お前らもう少しゆっくり…ってあれお前たちのメンバーの、」
最後に来た八乙女も顔をしかめた。
なまえにだけちゃんとした状況が把握出来ず、2人の顔色的によろしくない状況なのは分かった。
「あんたはこいつを連れて先に商店街から出て。俺はあの2人を引っ張ってすぐあんたらを追うから」
そう言って二階堂は人混みを掻き分けて前へ進んでいった。
すると八乙女はなまえの手を引きその場を離れる。
「あっあのっ、1人で歩けますからっ」
「はぐれたらどうするんだ、ここから出るまでは我慢しろ」
そのまま2人は小走りで商店街を離れる。
人が少なくなり足を休められるところまで来た2人は足を止めて3人を待つ。
「すまん、遅くなっちまった。ミツが居ながら何であんなことになったんだよ」
「ミツキがだめだめ星人だからヒートアップしてしまいました」
「だってナギが当たるはずないのにやるやるって駄々こねるから」
「ったく、気をつけろって言ったでしょ。何もなかったからよかったけど」
「お2人共囲われてましたけど大丈夫でしたか!?」
「おー大丈夫!ごめんな、俺たちのせいですぐ帰ることになっちまって」
「ソーリー…この埋め合わせはまた次の機会に」
申し訳なさそうに和泉は手を合わせて謝る中、六弥はさりげなくデートのお誘いをしてくる。
「いいえ、大丈夫ですよ!少しですけど皆さんと回れて楽しかったです!」
「つーか、何で八乙女楽がここに!?本物?そっくりさん?」
和泉は今気付いたと言わんばかりの驚きを見せまじまじと八乙女の顔を見る。
「俺が偽物に見えるか?」
「うわ、すげぇ、抱かれたい男が目の前にいる。なまえちゃん気を付けて」
「あんたは早く仕事に戻った方がいいんじゃ?それとも俺たちこれから事務所戻るし来ます?」
「お前らがいいならお邪魔させてもらう」
「えっまってやばい、八乙女楽がウチの事務所でお茶するとか夢みたい」
そのまま5人は浴衣をレンタルしたお店に寄って浴衣を返却してから、小鳥遊事務所へ向かって歩き出した。