キャンバスに映る貴方
第一話





chapter:この想いをキャンバスに込めて。





「うわああっ!!」

焦ったのはもちろん、俺だ。

だって、先輩のことを人知れず、こっそり見ていたことがバレてしまったから!!


どうする俺。

俺の気持ち、知られたのか!?

だって、絵はその人の気持ちを鮮明に浮き出させるもので、見た人に共感を得ることも可能だ。

これは、もう絶対、恋心を知られた。

もう、部活に来られないかもしれない。

先輩にも会えないかもしれない。


ああ、嫌われた……。




「藤堂くん」

いつもより大分低い声は、震えているようだ。

これは気のせいではないだろう。


……かなり怒っているかもしれない。

まあ、それはそうだろう。

許可も得ていないのに、勝手に肖像画を描いたんだから……。



「……はい」

額からダラダラと流れる冷や汗。

俺は固く拳をつくって、先輩の顔を見る。

沈黙がしばらくの間流れ……そうして居たたまれない空間になる中、先輩は紅色の唇から言葉を弾く。


「僕に何か言うことない?」


ああ、もう潮時か……。

先輩への想いは、これで打ち消さねばならない。


俺は観念して、緊張で乾ききった薄い唇を開けた。


「先輩好きです。美術部に入る前から、先輩のこと、ずっと見てました」


俯いた先輩を見つめる俺。


すると、先輩は顔を上げて――……。



「うん、僕も!!」


にっこりと満面の笑みを浮かべて、そう言った。



――はあ?


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