キャンバスに映る貴方
第二話





chapter:恋慕





――そうして出てくるのは、キャンバスに描かれた、彼の姿。


象牙色の肌に整った端正な顔立ちの彼。

人知れず、こっそりと描いた藤堂 涼くん。


明日の美術部の提出する絵は、これでないものをと考えた。

だけど、今作成中の絵はまったく進まず、けれど彼を描いた絵の方がすぐに出来上がってしまう。


実はもうひとつ、これとは違った彼の絵も、美術室にある。


――どうしよう。

僕の中で、彼がたくさん埋まってしまう。

僕の身体を包んでくれた、力強い腕の感触が忘れられない。


まるで、僕の心を試すように抱きしめた彼――……。

貴方は何を思っているの?

僕のこと、少しでも想ってくれている?



貴方は、僕が簡単に振りほどけるかどうかを試したのかもしれないけれど、キスしようとするその行為は、誰にでも簡単にできるものではないよね?


……怖い。


彼の気持ちを知ろうとすれば、身体が竦(すく)み上がり、震える。

だけど……。

キスされると思った時の――あの熱を帯びたような強い眼差し……。


あれは僕を想ってくれているもののように感じる。



明日は絵の提出日。

生真面目な彼のことだ。

きっと早朝、絵を描き上げに、部室へとやって来るだろう。

僕も明日、朝早く学校に行って彼の真意を確かめよう。



もう、無理だ。

もう限界……。


彼に抱きしめられて、僕の身体も、心も、すべてが熱を持ちはじめてしまった。


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