キャンバスに映る貴方
第二話





chapter:恋慕





彼の夜空のように瞬く一途な瞳が、しどろもどろになっている僕を映す。


すると、彼は何を思ったのか、顔を近づけてきた。


僕は抵抗するのも忘れて、彼の腕を強く掴み、目を伏せる。



彼の吐き出す甘い息が、僕の頬に触れる。

みぞおちが疼いた。


キス……される?


歓喜に震える身体を必死に押し止めて、彼の唇を受け入れる準備をする。


――だけど、僕が待ちに待っていた薄い唇の感触は、一向にやってくる気配はない。



「……ほら、やっぱり危ない」


コツン。

僕の細い肩に、彼の額が当たる。


「っあ、危なくない!!」

「はいはい」

キスは、貴方だから受け入れようと思っただけ――。

それなのに、僕の想いを知らない彼は、振りほどけないのだと、簡単にあしらってくる。



――ねぇ、どうしてキスをしようとしたの?

本当は僕のこと、どう思っているの?



僕は先を行く彼の背中を見つめ、怒るふりをして、心の中で、ずっと彼に尋ねていた。



藤堂くんに家まで送ってもらって、無事家に着いた僕は、自分の部屋に入るとすぐに、ベッドへと倒れ込んだ。



まだ心臓が大きく鼓動している。


トクン、トクン、といつもより少し速い心音を聞きながら、自分の唇にそっと触れてみる。



彼とのキスはいったいどんなふうなんだろう。

惚(ほう)けた頭で思い描き、ベッドからむくりと身体を起こすと、部屋の入口に無造作に置いた風呂敷を開ける。


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