キャンバスに映る貴方
第二話





chapter:恋慕





恋を隠し通す気力もない。




――もし断られたなら……。

そう思うと、胸が引き裂かれるかのように痛み出す。

だけど、それでもこの想いを諦めきれないだろう。


だったら、いっそのこと告白して、僕を好きになってくれるまで、彼につきまとってみようか……。

あの、山本 恭一のように、何度もしつこく……。



「藤堂くん……」


愛おしい名を、そっと唇に乗せて、彼の姿を描いたキャンバスを抱きしめる。


彼を想うたび、考えるたび、熱を孕(はら)む僕自身が勃ち上がりはじめる。

彼の腕のぬくもりを知りたくなる。

欲しくて欲しくて、たまらない。



僕は残り少ないその日を、身も焦がれるような想いに苛まれながら、過ごした。





――翌朝。

時刻は八時を少し過ぎたところ。

僕は美化委員が清掃をしている学校の正門をくぐり、五階にある美術室へと足を向けた。


校内は人がほとんどと言っていいほどいない。

いるのは、その日の日直くらいなものだろう。


人気がない朝の学校ということもあってか、僕の心臓が忙しなく鳴っているのが聞こえる。


早く美術室に行きたいのに、それでも足が震えて、うまく進むことができない。

気持ちばかりが焦ってしまう。



はやる気持ちとは裏腹に、長い階段をゆっくりと上っていく――……。


冷たい廊下に、たったひとり分の足音が響く中、やっと見えた五階にある教室の一角に見えるのは、高々と掲げられているプレートの美術室という文字だ。


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