キャンバスに映る貴方
第二話





chapter:恋慕





そんな僕を見た彼は、僕がどうやら怒っていると勘違いしたらしく、さっきの僕のように項垂れ、顔を俯けている。


だけど、それは長くは続かなかった。

彼は何かを決意したかのように僕を見つめてきた。

漆黒の黒水晶の瞳が内心ドギマギしている僕を映す。



「僕に、何か言うことない?」



――お願い、言って。

キャンバスだけじゃなくって、貴方の口から聞きたい……。


願いを込めて、黙する彼を見つめれば、彼は薄い唇を開けた。



「先輩好きです。美術部に入る前から、先輩のこと、ずっと見てました」



――これは夢?

それとも現実?


夢ならどうか、冷めないで……。



そう、願いを込めて、手の甲を少し抓ってみる。



――痛い。

ああ、夢じゃないんだ……。




「うん、僕も!!」


貴方が好き。

僕はゆるむ口角を隠さず、彼にそう言った。


「よかった〜、言ってくれて。なんとなくそうなのかなぁって思ってたんだけどね」


昨日、キスされそうになって、もしかしたらと思った。

だけどやっぱり、違ったらどうしようとか色々考えて……。





微笑む僕に、藤堂くんは口をあんぐりと開けて呆然と立ち尽くしている。


僕の意図が理解できないらしい。

僕は彼に気持ちを理解してもらうため、さっきとは打って変わって、軽い足取りで唖然(あぜん)としている彼から遠ざかる。


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