chapter:恋心 「心桜、顔、真っ赤。風邪ですか? 熱は?」 ――うん、そう……。 熱があるんだ。 貴方を想いすぎた熱が……。 「少し、身体が熱くて……。熱、あるか、診て?」 キスしたい。 でも恥ずかしい。 視線を逸らしたい。 だけど、涼の顔をもっと見たい。 そんな気持ちが、僕を上目遣いにさせる。 彼の薄い唇を見つめてそう言う今の姿は、媚(こび)ているように、見えるかもしれない。 そんな僕を映す漆黒の瞳をした彼は、普段細い目をまん丸くしてから、眩しいくらいの綺麗な微笑みをくれた。 「そうですね」 唇が重なる前に、耳朶に直接当たる彼の熱い吐息……。 くすぐったくて、肩をすくめてしまう。 「先輩、可愛い……」 口づけを深くすればもっと先に進みたくなることを知っている僕達は、互いに触れるかどうかくらいの、可愛いキスを交わす。 チュッ。 「……っふ」 チュッ。 「……んっ」 僕と涼の唇が、付いては離れ、離れては付いて……。 そのたびに、鳴るリップ音が恋を語り合っているようで嬉しくて……。 涼とふたり、夢中になって、何度も啄むようなキスを繰り返し、ふたりだけの時間を楽しんだ。 ……信じられない。 ずっと前から恋焦がれていた涼とキスしているなんて……。 まさか、こんな夢みたいな時間が訪れるなんて思わなかった……。 |