キャンバスに映る貴方
第四話





chapter:恋心





涼以外の場所では囲いを作って、誰にも僕に触れられないようにする。


だけど、恭一だけは違う。

アイツは僕の囲いを平気で乗り越えてくる。


忌々(いまいま)しい……。


歯ぎしりしてしまったところで、顔を上げて、自分の席を視界に映す。

そうして、僕は彼の所有物だとそう言うように、僕の席に座っている彼を見つけるんだ。



冗談じゃない。

誰が、恭一なんか。

考えただけでも寒気がする。


僕が睨めば、恭一は唇だけを曲げて、うっすらと嫌味ったらしい笑みを浮かべた。

かち合う視線に、また気持ち悪くなる。



「そこ、どいて」

「ひどいな、キミを好きすぎて困っているのに……ゴミみたいな扱いしないでよ」


『自分は被害者だ』

そう言う、この厚かましい態度がムカつく。

負けずに睨み返せば……。


「いいのかな? そんな態度をとっても。さっき美術室で、いいもの見ちゃった……」


……ぼそり。

耳元で囁かれた。

その息さえも生理的に受け付けない。

だけど今は、吹きかけられた息よりも、恭一が言った話の内容の方が重要だった。


『さっき』

『美術室』

そのふたつの言葉に当てはまるのは、間違いなく涼との出来事だ。



「……っつ!!」


まさか。

恭一に、涼とキスするところを見られていた?


……そんな。

どうしよう。


僕が涼と付き合っているって知られたら、涼に迷惑がかかってしまう。


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