chapter:恋心 だけど、この手は消えてしまうのも時間の問題だ。 過去のことを話せば、涼は男に強姦されそうになった僕のことを気持ち悪いと思うだろう。 やがて僕を心配する低い声も消えるだろう。 それでも、僕の深い傷になっている過去を口にする。 それは、大好きな彼に、過去の出来事をひっくるめて、受け止めてほしいからだ。 僕は、大好きな涼に、優しく抱きしめて、それでも大丈夫だよと、慰めてほしいんだ……。 だけど、それは無理な話だ。 同性に、日頃から色事の対象として見られているこんな僕を、彼が受け入れてくれるはずがない。 「この学校に入学した当初かな。放課後、日直で残っていたんだ」 過去に起きた出来事を話す僕を、涼はただ黙って、見下ろしている。 僕はそのまま、話を続ける。 彼の手が、どうか遠ざかっていかないようにと願って……。 「そうしたら、突然、五人の生徒がやって来て、僕を床に押しつけてきたんだ。さっき、恭一がしたように、着ているものを全部引き千切って、ズボンを脱がされて……。 やめてって言っているのに、全然、訊いてくれなかった――」 下卑た笑い声が、泣きじゃくる僕の上から降ってくるんだ。 「むき出しにされた胸を触られて――舐められて――。だけど、それだけじゃ終わらなくって、僕の顔面に彼ら自身を突きつけられたんだ。口を閉ざせば、鼻を摘まれて、息ができないから口を開けたら、舐めろって言われて――」 |