chapter:甘い吐息 「涼……」 「綺麗ですよ? 心桜の身体はとても……」 首筋を通り、鎖骨を食む。 僕を賛美して、僕の身体に落ちていく涼の熱い唇。 ――もっと感じたい。 僕を涼だけのものにしてほしい。 「涼……涼……消して……胸を舐められた感触とか……恭一の記憶、ぜんぶ……お願い……」 胸に触れられた、ねっとりとしたあのナメクジが這うような気持ち悪い感覚が、僕の身体にも頭にも記憶として残っていることが苦しい。 だから僕の記憶を上書きして欲しくて、胸を突き出した。 「心桜……」 涼は恭一に触れられた僕の身体を、嫌うだろうか。 そう思えば、勝手に目頭が熱くなって涙が溢れる。 やっぱり、どんなに綺麗だと言っても、同性に意図も簡単に組み敷かれてしまう僕に嫌気がさしたのかもしれない。 ……悲しい。 ……苦しい。 僕は汚れてしまった。 涼に嫌われると思えば、さっきまでの嬉しい気持ちはすぐに、しぼんでしまう。 そうして悲しい気持ちに陥った僕は俯いて、涼から視線を逸らしてしまった。 意気地のない僕は、いつも前を向いて歩く涼に、相応しくない。 「泣かないで……俺は心桜が好きですよ?」 幼子のように泣きべそをかいて涙を流す女々しい僕――……。 だけど、涼はそんな女々しい僕の華奢な腰を引き寄せて、恭一に舐められた、ふたつある胸の突起を交互に、唇を落としてくれた。 |