chapter:思い焦がれて ◆Side:Ryo Tohdo◆ 「先輩、好きです」 「うん、僕も」 ――そうして俺の唇に、彼の柔らかい唇が触れた……。 「先輩……」 俺の目の前には、絵画モデルのような、如姫 心桜(きさき みおう)先輩がいる。 先輩は、蠱惑的(こわくてき)な小さな唇で、何度も俺の唇を啄(ついば)み、誘惑する。 俺は我慢できずに、野性的な唸り声を上げて彼の唇に強く吸い付いた。 「……んっ、っふ……」 俺がふっくらとした唇の角度を変えるたびに、こうして悩ましい声が放たれる。 もっと聞きたい。 可愛い先輩の声をもっと――……。 願望を募らせ、唇が開いた瞬間を狙って熱い口内に舌を忍ばせる。 「……っふ」 先輩の口内を我が物顔で蹂躙する俺の舌に、一生懸命応えてくれる。 可愛すぎる。 舌が重なって、動くたび、水音が聞こえてくる。 それに刺激されて、下半身がジクジク疼いて仕方がない。 押し上げてくる熱を止めることができなくて、俺は彼の腰をいっそう引き寄せた。 すると、熱を持った、互いの下腹部が当たる。 そうして分かるのは、先輩も俺と同じように自身が勃ち上がっているということだ。 俺とのキスに興奮してくれている。 そう思うと、たまらないほど嬉しくなるし、可愛い先輩を、もっと欲してしまう。 俺は、艶やかな髪に指を差し入れ、さらに彼を引き寄せた。 「あっ、まって……」 先輩は、先を急ぐ俺の胸板を押して、拒絶した。 |