chapter:Night~捕らえられて 「お頭、いったい何を考えてるんだ? 男なんて掻(か)っ攫(さら)って、どうする気だよ? 女の方が高く売れるだろう? 俺たちは足がつく前に金蔓(かねづる)をさっさと売り飛ばさなきゃならねぇんだぞ? これじゃあ、なんのために少数でチームを組んでいるのかわかったもんじゃねぇっ!!」 3人いる人買い連中のひとりが、唸りながら、『お頭』と呼ぶ男の首根っこを掴んだ。 あれからどれくらい歩いただろうか。 オレは人買いの所有物である証として、両手を縄で縛られ、スラム街を抜けたところの砂漠にある、移民用のテントを張っている群れの中のひとつに放り込まれた。 この群れは、一見すると移民の群れのように見える。 だけどその実態は、何によるものなのかは、大体の察しはつく。 オレみたいに、借金を作った人間を金持ちに売り飛ばして稼いでいる奴らだ。 王は、街の外にこの現状があることも知っている。 だけど彼らは、決定的な証拠がないし、金貸したちもれっきとした商いだから、それを罰することはできないと、見逃していた。 どうせ、自分たちに危害が及ばないから放置しているんだろう。 いつだって困るのは、権力がない弱いオレたちばかりだ。 押し込まれたテントの中は、外見よりもわりと広かった。 大人4人は軽く入れる広さだ。 テントの入り口はしっかり塞げるようになっていて、風に乗って舞い上がる砂漠の砂を、中に入り込まさないようにしている。 |