アラビアン・ナイト
第五話





chapter:Night~捕らえられて





仲間の手をふりほどき、オレの前にしゃがみ込む。

歯を食いしばるオレの顎を持ち上げ、ニヤリと気味が悪い笑みを浮かべた。




……触れられた手の感触が気持ち悪い。


その感触をたとえて言うなら、ナメクジがオレの顔を這うような、そんな感じ。


あまりにも気持ちが悪くて、よりいっそう頭領の男を睨むオレ。


だけど、奴はそれを楽しそうに見下ろすばかりだった。


「そう言われてみれば......」


頭領に噛みついた男は、浅黒い顔をオレに近づけ、同意した。


おかげで、そいつの顔に無精ひげがあることがわかった。



品定めするようなジトジトした視線と相まって、そのひげがまた、気持ち悪いと思わせる。


「だったら、さっさと売り飛ばそうぜ?」


「っぐっ!!」



また別の男がそう言うと、頭領は、オレの両腕と繋がっている縄を引っ張り、膝立ちにさせてきた。


それを合図に、無精ひげがある男がオレの両足首を持ち、身動きできないようにと固定してくる。




「――その前に、より高額で売り捌(さば)けるように、こいつを馴らしておいた方がいい」


頭領は、顎ひげに指を絡めると、目を細めた。




馴らす?

コイツ、何を言ってるんだ?





「よし、まずは、胸だ」

頭領の言葉に反応した仲間のひとりが、何かの長細い小瓶を差し出した。





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