chapter:Escape~逃亡の果て 後ろを振り向けば――。 やばい。 後ろからも3人、前からやって来る兵士と同じような格好をした奴らがオレを捕まえようと向かってきている。 挟み撃ちにされた! 今日のオレはツいてない。 いつもなら、こんなヘマはしない。 細い体に小さな背を生かし、この人混みを利用してやんわり交わせるのに!! ――なんて、苦虫を噛むような顔をしたってお天道様(てんとうさま)は助けてくれるわけでもないのは、もう知っている。 くっそ! 今の今だって、母さんの病状は悪くなってるし、幼い妹は腹を空かせて、ご馳走を持って帰ってくるオレを待ってるってのに!! 悔しいから認めたくはないけれど、この状況はどうやっても結末は目に見えている。 ――いや、オレだって、ジャンビーアくらいは持ってるよ? ジャンビーアは、一人前の戦士の証として与えられる、男にとって大切なものだからな。 それに、このジャンビーアは特別で、今はこの世界にいない父さんの形見でもある。 剣の腕前だって、そこいらの兵士に負けないくらいの使い手だっていう自信もあるよ? え? オレの剣の腕前はどれくらいかって? 自慢だけど、スラム街の中では一番だ。 だけどさ、いくらなんでも、人混みが多いこの街中で刃物を振り回すわけにもいかないし、しかもオレよりもずっと背が高い大人の兵士を一度に4人も相手できる自信はない。 |