chapter:Refusal~涙の理由 実際、彼女はとても思いやりがあった。 ヘサームとはどういう関係なのかはよくわからないけれど、見ず知らずのオレを心配して、とても優しい手つきで、リンゴの皮をむいて差し出してくれる。 さすがのオレも、彼女の優しさを無下にはできなくて、差し出されたものを口に運ぶ。 そうして毎日3食、きっちり食べさせられていた。 おかげで、傷ついた体から、少しずつ痛みが消えていった……。 だけど、オレの中で、取っ掛かりがあった。 というのも、ヘサームはここ最近、まったくと言っていいほどオレの前に姿を現さなくなったんだ。 それはどういうことだろう。 ――いやいや、オレにとって、ヘサームなんてどうでもいいことだ。 オレを女みたいに扱った男の顔なんて見たくもない。 ……それなのに――。 なぜか、ヘサームの顔を見ないと胸が痛む。 もしかしてヘサームは、簡単に体を開くオレのことを気持ち悪いと思ったのか? 体を重ねて、浅ましくもっと欲しいとそう告げたオレのことを醜いと感じたのかもしれない。 あまりの気持ち悪さに、顔も見たくないと、そう思ったのかもしれない。 だとしたら、オレは――……。 「あなたは、ヘサーム殿がお嫌いですか?」 「えっ!?」 |