アラビアン・ナイト
第七話





chapter:Refusal~涙の理由





それなのに、オレの心臓がドクドクと跳ねる。




――それにまた、オレは、『可愛い』と言われてしまった。



ヘサームといい、バシラさんといい。ふたりしてオレにとっての禁句を簡単に言い放つ。



しかも、やっぱり、『可愛い』と言われてもイヤな気持ちがしないんだ。


……そういえば、オレ、なんでヘサームに、『可愛い』って言われても腹が立たないんだろう。


ヘサームに抱かれたあの時でさえ、告げられた、『可愛い』がとても嬉しく思えた。


憎いと思っているはずの相手なのに?


なんで……?





「バシラ様! 手をお借りしたい!! ヘサーム様が!!」


バタンッ!!


オレが考え事をしている中、突然、危機感を帯びた声が聞こえたかと思うと、固く閉ざされていた扉が勢いよく開いた。


――と、思ったら、カンドーラに身を包んだ男性4人が慌ただしく部屋の中へ入ってきた。


4人のうち1人は、2人に担がれ、項垂れている。


鮮血が、元は真っ白だったはずのカンドーラを広範囲にわたって染めていた。



項垂れている男は腹部を押さえている。


どうやら、出血の出所は腹の辺りらしい。


刺されたのか?

だけど、いったい誰に!?


そして刺されたこいつは誰?



嫌な予感しかしない。





- 71 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom