chapter:Refusal~涙の理由 どうか、この考えが間違っていますように。 そう願いながら、オレは項垂れている男が誰なのかを知るため、ゆっくりと顔を傾ける。 だけど、やっぱりオレの予感が的中していた。 「ヘサーム!!」 腹に重傷を負っている彼の顔を確認したオレは、頭の中が真っ白になった。 慌ててベッドから飛び降りる。 「アティファ……か?」 駆けつけたオレに気がついたのか、ヘサームは少し顔を上げて、懐から硬い何かを取り出した。 「これを……」 震えるヘサームの手の中にある、『それ』を見たオレは、一瞬、自分の目を疑った。 だって……。 だって、それは……。 どんな苦しい時でも、それが傍にあると、勇気がわいたもの――。 オレにとってかけがえのない、とても大切な宝――。 人買いに奪われ、売られたかもしれない――。 父さんの形見――。 「オレのジャンビーア!? どうして、なんで、ヘサームが持ってるの?」 オレのジャンビーアは人買いに持って行かれたハズなのに!? オレが尋ねると、ヘサームの整った顔が歪んだ。 「ヘサーム、動くな! 傷にひびく!!」 付き添いの男はそう言うと、オレがいたベッドにヘサームを横たわらせるよう、手振りで従者に命令した。 「ヘサーム殿、なぜこのようなことになったのです?」 |