アラビアン・ナイト
第七話





chapter:Refusal~涙の理由





どうか、この考えが間違っていますように。


そう願いながら、オレは項垂れている男が誰なのかを知るため、ゆっくりと顔を傾ける。



だけど、やっぱりオレの予感が的中していた。



「ヘサーム!!」


腹に重傷を負っている彼の顔を確認したオレは、頭の中が真っ白になった。


慌ててベッドから飛び降りる。




「アティファ……か?」

駆けつけたオレに気がついたのか、ヘサームは少し顔を上げて、懐から硬い何かを取り出した。



「これを……」


震えるヘサームの手の中にある、『それ』を見たオレは、一瞬、自分の目を疑った。



だって……。

だって、それは……。





どんな苦しい時でも、それが傍にあると、勇気がわいたもの――。



オレにとってかけがえのない、とても大切な宝――。

人買いに奪われ、売られたかもしれない――。



父さんの形見――。




「オレのジャンビーア!? どうして、なんで、ヘサームが持ってるの?」


オレのジャンビーアは人買いに持って行かれたハズなのに!?




オレが尋ねると、ヘサームの整った顔が歪んだ。



「ヘサーム、動くな! 傷にひびく!!」


付き添いの男はそう言うと、オレがいたベッドにヘサームを横たわらせるよう、手振りで従者に命令した。



「ヘサーム殿、なぜこのようなことになったのです?」





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