chapter:Refusal~涙の理由 「どうしてそんなことをオレに言うの?」 バシラさんはふたたび目を開けて、尋ねたオレの困惑している表情を視界に入れた。 「ヘサーム殿は、貴方を好いておられるからです」 なんだって? ヘサームがオレを好き? それはあまりにも、バシラさんがサラッと告げたものだから、オレは自分の耳を疑った。 ……あり得ない。 だって、だってオレは男で、ヘサームももちろん男だ。 同性を恋愛対象として見るのはかなり無理がある。 「オレは男だ」 「ですが、ヘサーム殿は貴方を好いておられる。失礼ですが、貴方は人買いに捕らわれ、媚薬を浴びせられたとか……」 「……っつ!!」 バシラさんは事実を告げている。 だけど、人買いに捕らわれ、男に体を暴かれたあの時のことを思い出したくもない。 それでも、いろいろしてくれているバシラさんに失礼なことをしたくなくて、オレは、コクンと小さく頷いた。 すると、バシラさんは突然オレに手を伸ばし、カンドーラの上から胸のあたりをなぞった。 ビクンッ! 触れられた箇所から甘い疼きを感じて、オレは与えられた刺激に反応してしまう。 体は小さく震えた。 「あっ、いやっ!!」 「……やはり、まだ媚薬は最後まで抜けてませんね」 ――え? それは、どういう意味? |