アラビアン・ナイト
第七話





chapter:Refusal~涙の理由





……ああ、オレは、なんて酷いことを言ってしまったんだろう。







オレがそうやって罵ったのは、ヘサームに傷つけられるのが嫌だったからだ。


ヘサームに言われる前に、オレから酷いことを言って、自分の身を守ろうとしたからだ。




オレは……。





――ああそうだ。


ヘサームに、『可愛い』と言われて腹が立たなかったのも――。


人買いに媚薬をかけられた時、ヘサームに会いたいって思ったのも……。


オレを買った奴に組み敷かれた時だって、あんなに苦痛だと思っていたにもかかわらず、ヘサームに抱かれても苦痛だと思わなかったそれも、きっと媚薬のせいじゃなくて……。




オレが――。



『ヘサームのことが好きだから』なんだ。




――いつ?

いつからヘサームを好きだった?


それはきっと、初めて会った時から……。

乱暴な物言いをするオレに対して怒りもせず、優しくしてくれた時からだ……。




「ヘサーム、オレはここから逃げないよ」


――そう。

ヘサームが本当にオレを好きでいてくれているのか、真意を突き止めるまでは!!



従者たちが、ヘサームの傷ついた腹部に包帯を巻き、出血を止めさせる中、オレはヘサームの額から玉のように流れ続ける汗を袖で拭き取ってやりながら、静かにそう言った。





- 75 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom