アラビアン・ナイト
第九話





chapter:Passion~アティファ





オレが尋ねると、言おうか言うまいか躊躇(ためら)っていたのだろうか、ヘサームの口がまた開いた。



「いくら君を守るためとはいえ、媚薬に侵されている君を無理矢理抱いてしまった……」


ヘサームの声が震えている。




――それって。


……それって……。


ねぇ、ヘサーム? それって、もしかして、オレのこと、好きでいてくれてるの?


「……オレは、他の奴に抱かれて、汚れちゃったけど……許されるのなら、ヘサームの隣にいたい」


 ヘサームの言葉が、告白であってほしいと思いながら、震える唇に言葉を乗せていく。




「汚れてなんかいないさ。君は出会った時と同じで、汚れなく美しい。

愛している。アティファ」


ヘサームの言葉に、息が詰まった。


だって、だってさ。




『愛している』って、彼はたしかに、そう言ったんだ。


その言葉が嘘ではないと、そう言うように、涙を流すオレを見つめてくる真摯(しんし)な瞳。


「っつ、ヘサーム!! オレ、オレ……嫌われたのかとっ!!」


嬉しすぎてどうにかなりそうなオレにとって、言いかけた言葉があまりにも悲しいから、最後まで言えなかった。




もしかすると、オレはまだ夢の中なのかな?


現実は、まだヘサームは目覚めてなくて、熱にうなされているのかな……。





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