chapter:Passion~アティファ 後ろから声がしたと思ったら、さっき払い除けたオレの手が、ヘサームの手に捕まった。 ドサッ。 ベッドに倒れ込む音がするのと同時に、オレの背中に柔らかい布の感触があった。 気がつけば、オレはまた、ヘサームの両腕に閉じ込められていた。 ――いや、違う。 さっきよりも、力はずっと強い。 現状を把握したオレは、頭のてっぺんから血の気が引いていく……。 だって、だってヘサームは怪我をしているんだ。 オレの上にのし掛かっちゃダメだ。 せっかくナジさんに止血してもらったのに、悪化したら大変だ。 ヘサームが死んじゃう!! 「やっ、ダメ、はなしてっ!! せっかく出血が止まったのに、傷が!!」 「放せば、アティファは俺の前からいなくなるだろう? だったら、放さない!!」 ヘサームは、いったい、なにを言っているの? 「どんなに過酷な状況であっても、スレていない君を守ってあげたいと思ったのがはじめだ。 話していると、表情がクルクル変わって、もっとたくさんのアティファを知りたいと思った。 出会って間もないのに、気がつけば君のことばかりを考えて1日を過ごすようになっていたんだ。 それなのに俺は……」 そこまで言うと、ヘサームはオレの肩口に額を乗せて黙った。 だけど、両手はオレの腰に巻き付いている。 オレを手放す気はないらしい。 「ヘサーム?」 |