アラビアン・ナイト
第九話





chapter:Passion~アティファ





お願いだ。

神様。

どうか、これが夢ではありませんように……。


オレは天に祈りながら、たくましい体に頬をすり寄せる。




ヘサームは、そんなオレの頭のてっぺんにキスを落とし、優しく抱きしめてくれた。


夢ではないと、そう言ってくれるように……。




――オレ、今すごく幸せだっ!!


「君の母上のことだが、ナジに診てもらうといい。彼は医療のスペシャリストだから。

それでアティファ、俺は君を養子にしたい。

一緒になろう」



ヘサームと両想いになれたことで、嬉しくてひとしきり泣いた後、静かにそう言ったヘサームの表情はとても穏やかで、目を細めて微笑んでいた。




オレが好きな、ヘサームの笑顔だ。

また彼の、その表情が見られて嬉しい。


それにそれに、ヘサームはさっき、なんて言ったの?


母さんの病気をナジさんに診てもらえってそう言った?


オレを養子にするとも?




――ああ、神様。


あふれ出てくる感情は、絶えず流れ込んでくる。



返事。

返事をしなきゃ。


だけどダメだ。



嬉しすぎて、返事なんかできるはずがない。

込み上げてくる感情が喉につっかえて、声が出せない。




代わりにコクンと頷くと、薄い唇がオレの口を塞いだ。



「……ん」

オレは両手をたくましい体に回し、身をゆだねた。





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