好きと言えない。
最終話





chapter:想い繋がる夜。







「すき。昴(すばる)、好きなの……」


 悠里(ゆうり)は、優しく包み込んでくれる力強い腕の中で、嗚咽(おえつ)と共にそう告げる。

 柔らかなベッドの上で、静かに涙した。


「俺もだよ、悠里。だから泣くな」

 泣くな、なんて無理な話だと、悠里は思った。

 だって、もう手に入らないと思ったのだ。

 昴はきっと自分の元から離れ、何処か遠くへ行ってしまう。

 そう、思っていたのだから……。


 でも、実際は違っていて、昴はずっと悠里を想っていたと言う。

「ずっと好きだった」

 そう言って、昴は悠里の頭を撫でる。

 優しく。

 あたたかに……。



「恋心に気がついたのは、悠里の両親の喧嘩が絶えなかったあの頃からかな。

悠里はいつも俺の傍に寄ってきて、甘えただろう?

はじめは、弟がいれば、きっとこんな感じだろうと思っていたよ。 

だが、その想いは違ったんだ。悠里が俺に微笑みかけてくれるたび、俺の胸は高鳴った。こんなふうに……」


 昴は悠里の身体を密着させると、自分の胸に、悠里の頭を引き寄せた。


 耳からは、昴の心地よい鼓動が聞こえてくる。

 悠里は恥ずかしくなって、頬を朱に染める。


 嬉しいと、素直に思った。



 だが、ひとつ、悠里には納得できないことがあった。

 そのことを考えれば、あたたかだった身体から、温度が失われていく……。


 しかし、これを言わなければ、悠里は、心から嬉しいと思えない。


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