chapter:想い繋がる夜。 だから口を開け、喉から声をしぼりだす。 「すばる……は…………」 決意するものの、けれどどうしても言葉が出せない。 口を噤(つぐ)んでしまう。 ぎこちない沈黙が、部屋を包む。 けれど、昴はけっして、痺れを切らしたりはしない。 ただジッと、悠里が話すのを待ってくれる。 そんな昴に、悠里の胸が、きゅっと締めつけられる。 それは常に、悠里の心を蝕(むしば)んでいた疑問。 もし、それを口にすれば、自分を追い込むだけなのかもしれない。 昴は今度こそ、自分の元から去っていくかもしれない。 けれど、それを訊(たず)ねなければ、悠里は一生苦しむことになる。 臆病者の悠里は、ここへきてはじめて、逃げたくないと思った。 たとえ、昴が自分のことを身体だけの関係だと言ったとしても、それでも訊(き)かなければ、自分は何時まで経ってもこのままだ。 「すばる、は……付き合っている女性がいるの?」 意を決して昴に告げる悠里の口の中は、唾液が消え、喉はカラカラに渇ききっている。 離さないで――。 昴の広い背中にまわす腕に込められた想い。 悠里は、これでもかというほど、力いっぱい、昴に縋(すが)る。 しかし、覚悟を決めるそんな悠里の頭上で、間の抜けた声が聞こえた。 「何が?」 (――えっ?) 悠里は、昴に決定的な言葉を告げられる筈(はず)だと、そう思って疑わなかった。 それなのに、昴は悠里の疑問を、疑問で返してきた。 これは悠里にとってまったくの予想外で、伏せた顔を上げて、昴を眼に映す。 すると、昴はやはり眉根を寄せている。 |