好きと言えない。
第十話





chapter:想い、打ち明けて。





 悠里の、柔らかな少女のような頬からは、涙の筋が幾数にもわたって、流れる――。


 凍えそうな、凍てつく寒さが悠里を襲う中、けれどそれは長くは続かなかった。


 ふわり。

 すっかり凍えてしまった悠里の身体が、あたたかいものに包まれた。

 悠里は突如としてやってきた、あたたかな何かを感じて息を飲んだ。同時に涙も止まる。

「悠里……それ、本当か?」


 悠里の頭上からは、愛おしい彼の声が聞こえた。

 だから、絶望に暮れた悠里を包むのは、愛おしいその人だと理解した。


 悠里は抱きしめてくれている昴の意図が判らず、こくりと腕の中でうなずいた。

 すると……。


「んっ……」

 悠里の小さな唇が、塞がれた。

 悠里は、自分の身にいったい何が起こっているのかを理解できなかった。

 何度も瞬きをして、ようやく見えてくる現実。

 昴の熱い吐息が、頬を撫でる。

 悠里のうんと近くに、彼がいる。



 いくらかすると、やがて昴の吐息が感じられなくなり、彼との距離が生まれた。

 そこで、自分の身に何が起こっているのかを理解した。

 キスを……されたのだ。

 けれど、悠里にとって、いったい昴のキスが何を示すのか理解できない。

 大きな目をさらに見開く。




 悠里の細い肩に、昴の頭が乗った。

 そして――――…………。




「悠里…………俺も、お前が愛おしい」


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