好きと言えない。
番外編





chapter:☆・゜:*Happy Christmas*:゜・☆





 そう考えていた矢先、家の固定電話のコール音が聞こえた。

 この時間の電話には心当たりがある。

 だからきっと彼だ。


 悠里は椅子から腰を上げ、固定電話がある廊下へと急いだ。

 何度目かのコール音の後、固定電話のディスプレイを覗き込めば、やはりとも言うべきか、そこには昴の名前が表示されていた。


「もしもし」


 ごくりと唾を飲み、赤い唇から吐き出す言葉。

 この電話が何を示しているのかは、長年の付き合いで知っている。


「悠里か? 悪い、今日の帰りは遅くなる。夕飯はいらない」


――たったそれだけの電話。

 クリスマスらしさのひとつもない。

 悠里はもの悲しさを覚えながら、けれど昴には心配をかけたくなくて、ひとりで夕食を済ませた。


(でも……だけど……)


 せめて、クリスマスケーキだけは一緒に食べたい。

 悠里は、テーブルの上に真っ白な平皿をふたり分、用意した。


(やっぱり、ひとりきりのクリスマスは悲しいな……)


 ダイニングキッチンに戻り、ふたたび椅子に腰掛けていると、ますます両手の指先も冷たくなってくる。

 ほぅっと息を吹きかけ、それでも健気に、彼の帰りを待った。





「ただいま」

 今の時間は、夜9時を少しまわったところ。

 昴が帰ってきた。

 悠里は椅子から腰を上げ、昴がいる玄関まで走る。



「昴、おかえりなさい」


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