好きと言えない。
番外編





chapter:☆・゜:*Happy Christmas*:゜・☆





「ただいま、悠里」


 そう言って、にっこり笑いかけてくれる昴に、ドキリと胸が高鳴る。

 悠里が大好きなその人が、自分の名前を呼んでくれて、微笑んでくれるのはとても嬉しいこと。だから、クリスマスは一緒にいたかったなどと、小言は言えない。

 だって、悠里は、昴には相応しくない子供だから……。



「お風呂にする? ちょうどいいくらいかもしれない」


 悠里は昴が持っていたカバンを預かろうと、手を伸ばした。

 昴の手と、悠里の手が触れ合う。

 すると、悠里の手は、昴の大きな手に握りしめられた。

 悠里はこれまで、昴と何度も口づけを交わし、夜になれば幾度となく身体を重ねた。

 けれども、昴に慣れることはない。

 触れ合った手から、静電気のようなビリビリとした感覚が悠里の身体を駆け抜ける。

 悠里の胸は跳ねるばかりだ。

 けれど、昴は違う。

 端正な顔をしている彼の表情は、少しずつ曇っていく……。


 正直、整った顔をしている昴は眉根が寄るだけで、とても怒っているように見えて怖い。



(なんだろう? ぼく、何かやらかしたかな……)

「あの、昴?」

 内心焦る悠里は、恐る恐る、昴に訊(たず)ねる。

 なかなかカバンを渡してくれない昴の表情を窺えば……。

「悠里。お前、今まで何処にいた? 手が冷たい……」


「あ……」

 そこで悠里は、昴が何に対して不機嫌なのかを理解した。


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