chapter:☆・゜:*Happy Christmas*:゜・☆ 昴はきっと、自分が帰ってくるのをキッチンでずっと待っていたということを知っただろう。 重い奴だと思われた。 昴に嫌われる。 「えっと……」 焦る悠里は、昴から視線を逸(そ)らし、手が冷たい言い訳をなんとか探す。 けれど、当然とも言うべきか、いい返事が思い浮かばない。 昴に嫌われる。 覚悟して、悠里は真実を口にすることにした。 「クリスマス……ケーキだけでも……一緒に食べたくて、キッチンで待ってた……」 顔を俯けて悠里が言った。 果たして昴の反応は、というと……。 「えっ? わわっ!!」 悠里の手は昴に包まれたまま、柔らかい音を立てて、あたたかな体温に包まれた。 その代わりに、彼が持っていたカバンは行き場を失い、廊下のフローリングに大きな音を立てて落ちる。 「クリスマス……そうだよな……。ごめん、悠里は何も言わないから甘えていた。 俺も同じ気持ち。クリスマスくらい、悠里と一緒に過ごしたかった」 「ん……」 昴の熱い吐息が、悠里の耳孔に直接入ってくる。 それだけで、つま先から指先まで冷え切った悠里の身体が温かくなる。 (よかった。昴に重いとか言われないで……) 悠里はほっと胸を撫で下ろし、昴の大きな背中に手をまわした。 「でも、いいの。昴は今傍にいるし、今からでも一緒にいられるから……」 悠里はそう言うと、分厚い胸板に頬を寄せた。 |