好きと言えない。
番外編





chapter:☆・゜:*Happy Christmas*:゜・☆







 手を繋いだカップルたちが微笑み合い、通り過ぎていく。


 今日は、12月24日。

 クリスマスイヴだ。


 終業式を終えた、学校からの帰り道で、霧崎 悠里(きりさき ゆうり)は彼らの後ろ姿を見つめていた。


 今の自分は、さぞ物欲しそうに、行き交うカップル達を見つめていることだろう。



(いいな……クリスマス。大好きな人と過ごせて――……)


 悠里が羨ましがるのには理由がある。

――というのも、悠里の好きな男性(ひと)は芸能人だ。


 そして、自分は一般人。しかも、彼と同じ性別。

 芸能人というだけでも、外を出歩くのは苦労する。

 それに加えて、同性ともなれば、他人の目がある手前、手など繋げる筈もない。

 悠里の好きな彼の名前は、間宮 昴(まみや すばる)。

 鋭い瞳だけれど、どこか優しい印象をもたらす目。

 視線が重なるだけで、心臓が大きく跳ね上がる。

 薄い唇で、悠里の名前を呼ばれると、傍に寄り添いたくなる。

 彼はとても人気なモデルで、テレビから雑誌にまで引っ張りだこだ。

 だから、クリスマスは大忙しで、彼は家にいない。



 だから、言えなかった……。

 今日はクリスマスだから、「傍にいて」と……。

 彼は悠里とは両想いで、恋人だ。

 けれどその前に、彼は芸能人だ。

 仕事と悠里、どちらが大切だと問われれば、当然、仕事と言うに決まっている。


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