chapter:身代わり~秘めた恋心。 ――そして、悠里が小学1年生の時、両親はとうとう離婚を決意し、母親と共に暮らすことになった。 同時に、憧れの存在である昴と離れ、彼がいる街から引っ越すことになったのだ。 ……もう、昴とは会えない。 幼い悠里には、何故か両親が離婚することよりも、昴と離ればなれになるということがとても悲しく、そして苦しかった。 もしかすると、悠里は、深層心理の中では両親が離婚するという事実を知っていたのかもしれない。 だから、母親から離婚のことを口にされた時、さほどショックではなかった。 それよりも、昴と離れてしまうことがとても辛く、苦しいものだった。 そして、そこで悠里は気づいてしまうのだ。 昴へ……あってはいけない想いを抱いていることに……。 あろうことか、悠里の中にあった昴への想いは憧れではなく、家族に向けるような感情でもなかった。 同性に抱くものとは違う想いだと気がついてしまったのだ。 ……そう。 悠里は異性を想うように昴を見つめ、あろうことか恋心を抱いていたのだ。 だが、昴は違う。 悠里のことを弟のように思い、優しくしてくれた。 ただ……それだけ……。 だから悠里は昴から離れることを悲しく思うと同時に、気持ち悪いと思われる前に遠ざかった方がいいとも考えた。 たとえ、この身が張り裂けそうに、痛み出したとしても……。 |