chapter:身代わり~秘めた恋心。 悠里は、そこで同居をさせてもらうことになった。 モデルをしている昴は、どんなに多忙であっても、夜8時になれば必ず家に帰って来る。 昴ばかりに稼いでもらってはいけないと、悠里も学業と兼業でアルバイトをすると言い出しはしたが、昴から、『もっと金が欲しいのか?』と尋ねられた。 昴ばかりに負担をかけるわけにはいかないからと悠里が話せば、昴は、『家に居てほしい。今は学業に専念して、どうしても負い目を感じるのであれば、卒業してから働いて、金を返してくれ』とまで言われてしまった。 それでも悠里は、ただ昴ばかりに負担を背負わせてしまっているようで申し訳なく思い、仕事で忙しい昴に代わり、家事をするようになった。 それは母親と二人暮らしだった頃に身についたもので、悠里自身、特に苦痛とも思わなかった。 そうして悠里は、母親と過ごしていた時と同じように、中学校の帰りついでに夕飯の買い物をし、食事と入浴の支度に取り掛かる。そして、昴が帰宅すると夕食を共にするという毎日を送っていた。 ひとつ違うのは、同居している昴の一挙一動に悠里の胸がときめくことだけだ。 昴と同居することになった悠里の生活は、母親と同居していた時よりもはるかに楽しいと思えた。 昴とのこういう穏やかな日々がずっと続けばいいのにと、願っていたが……実際は悠里の願いどおりにならない。 |