chapter:身代わり~秘めた恋心。 しかし、いくら高校が受かったとはいえ、学費さえも昴に出費をさせている悠里は、少しでも早く就職してお金を返したいと思っていたため、勉学に励んでいた。 ほとんどテレビを見ない生活を送っていた。 だからこういう芸能界のことは全くもって疎(うと)く、寝室も別々だったこともあり、昴の行動をすべて把握していることもなかった。 密かに昴に恋心を抱く悠里は、社会ではそういうことが噂されていると知り、悲しく、そして苦しいものだった。 案の定、デパートから帰って来た悠里は普段よりも口数が少なくなってしまう。 榑葉の言っていたことがもし、真実であったとするならば、自分は昴の邪魔をしていることにならないだろうか。 仕事が終わった後も、本当はその女優と仲良くデートやディナーなどをして楽しみたいのではないだろうか。 自分がいるばかりに、昴は自由がきかなくなっているのではないのか……と、そう思うようになった。 「悠里? どうした? 何か考え事か?」 俯(うつむ)き、自己嫌悪に陥っている悠里に、昴はそうやって微笑みかけてくれる。 好きな人といられない自由を奪うばかりの悠里を邪険にすることもなく、気を遣ってくる昴がとても好きだ。 だから、悠里は言った。 「一緒に……いてくれなくてもいいから」と……。 「それは、どういうことだ?」 |