chapter:切ない想い。 悠里は、大失態をしでかしたことで悲しい思いに打ちひしがれながら、朝のショートホームルームを終えた後の教室へと重たい足を運んだ。 「あれ? 悠里が遅刻なんて珍しいね。どうしたの?」 2階にあるいくつも連なった教室の一角にある、2年6組の教室へと悠里が足を踏み入れると、一番に駆け寄ってくれるのは金居 光(かない ひかる)だ。 彼の 大きな茶色の瞳が悠里を映した。 彼も悠里と同じく少女のような顔立ちで、身長も悠里とさほど変わらず小柄だ。 大きい目と小さな鼻。そして、日焼け知らずのなめらかな肌を持っていた。 光とは、高校入学したての頃から同じクラスで、今では一番仲の良い友人である。 そんな華奢な容姿をした彼ではあるが、悠里とは異なった性格をしていた。 光は物怖じしない性格で、引っ込み思案な悠里に話しかけてくれる。 人を疑わない純粋な性格と屈託のない笑顔に悠里は惹かれていた。 光はクラスでもムードメーカー的な存在でもあった。 「うん、ちょっと寝坊しちゃった」 光に挨拶をすれば、顔をしかめられた。 なんだろうと悠里は首を傾げれば、「悠里、顔色悪いよ? 風邪ひいた?」と心配そうに覗かれる。 「あ、遅刻すると思って朝食抜いてきたからかな……きっと」 悠里は、まるで自分のことのように心配そうにしてくれる光の気持ちが嬉しかった。 |