chapter:想い、溢れて伝う涙。 だからこそ、悠里は、迷惑をかけないようにしようと思った。 体調管理もしっかりして、学校も無遅刻無欠席で、成績もトップとまではいかなくても、そこそこいいところまでいけて、無事に高校を卒業して就職する。 今ではなくても、そのうち、何時の日にかはきっと、昴に、お金を返そうと思っていた。 しかし、その決意はひとつ、破られた。 悠里は今、たしかに、昴の荷物にしかなっていないのだ。 悲しみを抱いた悠里の心を、まるで慰めるかのように車のエンジンがかかった。 込み上げてくる涙。 悠里は、自分を見ようとはしない昴の横顔から顔を逸(そ)らし、窓へと視線を移すと、けっして泣き声を漏らさないよう、しっかりと唇を噛みしめて、泣いた――……。 ほどなくして悲しみの心に囚われた悠里を運ぶ車は静かに停車した。 (昴の家に着いたんだ) 悠里は、もたれていた座席からゆっくりと身体を起こした。 それと共に、胸から胃液が一気に押し上げてくる。 (――気持ち悪い) 恐ろしい吐き気が悠里を襲う。 そんな悠里の目の端では、昴が運転手に金銭のやり取りをしていた。 涙の跡を消すため、袖で目尻を拭う。 すると、まるでタイミングを見計らったかのように、運転手が、悠里が座っている方向のドアを開けてくれた。 悠里は、おぼつかない両脚を、地面へと下ろし、腰を上げる。 |