chapter:想い、溢れて伝う涙。 昴は、俯く悠里に大きなため息をつくと、膝下に腕を差し込み、横抱きにしてマンションの中へと入った。 (――もう、嫌われた) (――厄介者だと思われた) (どうしよう) 悠里が大好きな恋しい人の腕の中で思うことは、もはや、それしかなかった。 悠里を横抱きにしたまま、器用に玄関のドアを開けた昴は、悠里の部屋ではなく、今ではすっかりふたりの部屋になってしまった昴の寝室まで運んだ。 悲しみに打ちひしがれた悠里を、ベッドの上に、そっと寝かせてくれる。 その仕草がまるで大切なものを扱うように優しくて、余計に悠里の胸を痛めつけた。 どうせ邪魔だと思っているのなら乱暴に扱ってくれた方がいい。 どうせ嫌われるのなら、優しくしないでほしい。 悠里の胸が痛む。 「これに着替えなさい。氷枕を取って来るから」 悠里の細い腕に青色のパジャマを置くと、昴は部屋を出ていった。 どんな相手でも優しく扱ってくれる昴。 どんな時でも他人を思いやってくれる昴。 (――いやだ。嫌われたくない) だからこそ、悠里は、昴に嫌われないために行動を起こすことを決意した。 少なくとも、今はまだ、自分の身体を気に入ってくれている。 だったら今、昴に抱かれよう。 体調を崩しているけれど、昴に抱かれても、彼には負担はかからないだろう。 |