chapter:この腕に抱く秘密。 少女のように大きな目は瞼で閉ざされ、長い睫毛が覆っている。 可愛らしいふっくらとした蠱惑的(こわくてき)な唇は、安らかな呼吸を繰り返している。 その息が昴(すばる)の胸に触れるたび、彼の身体を熱くさせる。 今すぐ穏やかな眠りにつく可愛い悠里を叩き起こし、自身の熱い楔を彼の中に挿し込み、快楽を味わいたいと思ってしまう。 しかし、昴は穏やかに眠る彼を見守り、息苦しくないように、けれど強く、彼の華奢な背中へと腕をまわした。 「……ん」 タイミングよく悠里の魅惑的な赤い唇から、悩ましげな吐息が放たれた。 昴はたまらなくなって、可愛らしい唇を自分の薄い唇で覆う。 どうやら熱は大分ひいたようだ。触れた唇からは、先ほどよりも熱は感じられない。 昴は、ほっと胸を撫で下ろした。 ――それは、1時間前のこと。 昴は、いつもと同じように、カメラの被写体に自らを映していると、九条(くじょう)高校から電話があり、悠里が授業中に倒れたことを知らされた。 昴の心臓が早鐘を打ち、冷たい汗が流れる。 昴は、上着片手にサングラスを掛け、撮影現場の人間に、大まかに同居人の話をした後、悠里を迎えに撮影所を抜けた。 タクシーを呼び、悠里がいる高校へと急ぐ。 するとタクシーは20分も経たないうちに、九条高校の門構えに到着した。昴は外来用の廊下を通り、悠里がいるだろう保健室へと足を速める。 |