chapter:この腕に抱く秘密。 薬の説明やら、健康を促進するポスターが連なり掲示されている白い壁の先には、保健室と書かれたプレートが貼っているドアがある。 「……っふ」 昴が、保健室と書かれてあるドアの取っ手に手を伸ばした直後――。 悠里の悩ましい声が聞こえた。 この声はよく知っている。 昴が悠里を抱く時に聞く、あの可愛らしい声だ。 昴は、もしかすると悠里が倒れたというのは口実で、実は、学校内の誰かと保健室でそういった淫らな行為をするためだったのかもしれないと、疑った。 悠里が倒れたと知らせを受け、彼の身を案じて慌てて駆けつけたのに、当の本人は、顔も知らない誰かと快楽を貪り合っている。 そう思えば、昴の全身が怒りで熱くなる。 昴は込み上げてくる怒りのまま、勢いよくドアを開けた。 昴が見た視界の先には、地面に腰を下ろした養護教諭(ようごきょうろん)と、その彼女のふくよかな胸に顔を埋めた悠里の姿があった。 養護教諭と昴の目が合うと、彼女は慌てて悠里自身に触れていた手を外した。 悠里を昴に明け渡す。 彼女はなんでもないふうを装ってはいるものの、上気した頬は隠せない。 しかも、登校する時はしっかり閉じていただろう悠里のカッターシャツは開き、白い胸元が覗いている。 (悠里もこの女と楽しんでいたのか――?) 怒りが彼の中を駆け巡り、力なく凭(もた)れかかる悠里を見下ろす。 |