chapter:この腕に抱く秘密。 それからだ。 昴は、早く自立して悠里に会いに行こうと考え、以前からいくらかあったモデルの話をのんだ。 悠里とは、自分の元を去っていったとはいえ、よく手紙のやり取りをしていた。 モデル活動と兼業していた大学も無事に卒業した昴は、悠里の引っ越し先も知っていた。 果たして、昴は悠里と再会した。 悠里は昔とひとつも変わらない人懐っこい笑顔で昴を迎えてくれた。 それは昴の中で、悠里という存在が今まで以上に大きく膨れ上がった瞬間でもあった。 ――そして、悠里の母親が心臓発作で倒れ、他界してしまったことを知る。 だから昴は、悠里を引き取ることを提案した。 昴が悠里と離れて、改めて感じたこと――。 それは、悠里以上に慕情を抱く人間は、悠里本人をおいて他にはいないということだ。 昴は、もう二度と悠里を手放したくはないと思った。 それから後、昴は悠里と共に暮らすことになる。 一緒に暮らすと、ますます理解したのは、悠里は献身的で、とても可愛らしいということだ。 当時の昴は、悠里のことを別段どうしようともせず、離れ離れになる以前と同じように過ごしていた。 とはいえ、昴は悠里に特別な気持ちを抱いている。寝室を共にすれば、可愛い悠里をベッドの上に組み敷き、操を奪ってしまうことは目に見えていた。 だから、悠里とは寝室を別にして生活していた。 もしかすると、悠里を抱いている今よりも、その頃の方がずっと仲が良かったのではないだろうか。 悠里には手を出さず、そうやって、ただ穏やかに笑い合い、純粋に想うだけにとどめておけば、悠里はずっと自分を頼りにして縋ってくれていたのではないのだろうか。 |