chapter:想い、深く。 悲しみに囚われてしまった悠里の小さな唇からは、嗚咽が飛び出しはじめる。 そうなると、光り輝く太陽に照らされる自分が惨(みじ)めに思えてきた。 ――消えてしまいたい。 悠里は、身体を包んでくれている毛布を頭から引っ被った。 それなのに、自分の嗚咽はいまだに消えず、毛布を通して、部屋を覆う。 それがさらに、悠里を悲しみへと誘うのだ。 泣き止む術も知らない悠里は、しばらく泣いていると、悲しみを覆う空間とは不似合いなドアが開く音が、何処か耳の端で聞こえたような気がした。 「悠里、どうした? まだ苦しいか?」 (――えっ?) 部屋のドアが開く音がしたと思えば、頭上から、悠里がほしいと思っていた、彼の声が聞こえた。 悠里は自分の耳を疑い、布団にうずくまっていた身体を解く。 恐る恐る、ゆっくりと視線を上げれば、そこには――てっきり仕事に行ったと思っていた、昴の姿があった。 「ああ、熱が上がったのか」 悠里は瞬きして、額に伸びてくる大きな手を疑った。 だって、傍にいてほしい思っていた昴は自分のすぐ隣にいる。 しかも彼は、眉間に皺を寄せ、心配そうに自分を見下ろしている。 悠里にとって、これはあまりにも都合が良すぎた。 ……コツン。 戸惑いを隠せない悠里の額に、昴の額が重なった。 「あ、あの……」 「ん? ああ、やはり熱があるな」 昴はそう言うと、悠里に微笑む。 |