好きと言えない。
第七話





chapter:想い、深く。





 悲しみに囚われてしまった悠里の小さな唇からは、嗚咽が飛び出しはじめる。


 そうなると、光り輝く太陽に照らされる自分が惨(みじ)めに思えてきた。


――消えてしまいたい。



 悠里は、身体を包んでくれている毛布を頭から引っ被った。


 それなのに、自分の嗚咽はいまだに消えず、毛布を通して、部屋を覆う。


 それがさらに、悠里を悲しみへと誘うのだ。


 泣き止む術も知らない悠里は、しばらく泣いていると、悲しみを覆う空間とは不似合いなドアが開く音が、何処か耳の端で聞こえたような気がした。



「悠里、どうした? まだ苦しいか?」

(――えっ?)


 部屋のドアが開く音がしたと思えば、頭上から、悠里がほしいと思っていた、彼の声が聞こえた。

 悠里は自分の耳を疑い、布団にうずくまっていた身体を解く。

 恐る恐る、ゆっくりと視線を上げれば、そこには――てっきり仕事に行ったと思っていた、昴の姿があった。



「ああ、熱が上がったのか」

 悠里は瞬きして、額に伸びてくる大きな手を疑った。

 だって、傍にいてほしい思っていた昴は自分のすぐ隣にいる。

 しかも彼は、眉間に皺を寄せ、心配そうに自分を見下ろしている。

 悠里にとって、これはあまりにも都合が良すぎた。


……コツン。

 戸惑いを隠せない悠里の額に、昴の額が重なった。


「あ、あの……」

「ん? ああ、やはり熱があるな」


 昴はそう言うと、悠里に微笑む。


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