好きと言えない。
第七話





chapter:想い、深く。





 あたたかくなった心は、また、真冬のように冷えはじめる。


 目を伏せ、訊かなくてもいいことを訊いてしまったと、悠里は自分を責めた。

 しかし、昴の答えは悠里にとって予想外の言葉が返ってくる。


 躊躇(ためら)いがちに話す悠里に、昴は、『そういうことか』と大きくうなずいた。

「今日は休むよ。さっき事務所には電話で伝えた。今日は悠里と一緒にいる」


 悠里にとって、それは間違いなく嬉しいこと。

 だから、けっして悲しむ必要はない。

 けれど、昴のその言葉は、悠里の胸を深くえぐった。

 昴はずるい。

 いつもそうだ。

 いずれは突き放すだろう筈の自分を、こうやっていつも甘やかす。

 突き放した後、悠里がどうなるのかも考えてない。

 どれだけ自分が残酷なことをしているのか、昴は知らない。


 悠里がゆっくりと首を振れば、一度は治まった涙が、また溢れてくる。



「いいよ……もう、いいから……ぼくのことは、放っておいて……」


 優しすぎる昴が、今の悠里にとっては残酷だった。

「どうした? 俺が……気に入らない?」

 それもそうかと、昴は思った。

 今まで悠里のことを考えず、夜な夜な悠里を求め、抱いたのだ。

 悠里が昴を拒絶するのは目に見えている。


 だが、悠里の想いは昴とは反対のものだった。

 悠里は、首を大きく振り続ける。

 そのたびに、目から溢れ出た涙が散っていく……。


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