chapter:想い、深く。 あたたかくなった心は、また、真冬のように冷えはじめる。 目を伏せ、訊かなくてもいいことを訊いてしまったと、悠里は自分を責めた。 しかし、昴の答えは悠里にとって予想外の言葉が返ってくる。 躊躇(ためら)いがちに話す悠里に、昴は、『そういうことか』と大きくうなずいた。 「今日は休むよ。さっき事務所には電話で伝えた。今日は悠里と一緒にいる」 悠里にとって、それは間違いなく嬉しいこと。 だから、けっして悲しむ必要はない。 けれど、昴のその言葉は、悠里の胸を深くえぐった。 昴はずるい。 いつもそうだ。 いずれは突き放すだろう筈の自分を、こうやっていつも甘やかす。 突き放した後、悠里がどうなるのかも考えてない。 どれだけ自分が残酷なことをしているのか、昴は知らない。 悠里がゆっくりと首を振れば、一度は治まった涙が、また溢れてくる。 「いいよ……もう、いいから……ぼくのことは、放っておいて……」 優しすぎる昴が、今の悠里にとっては残酷だった。 「どうした? 俺が……気に入らない?」 それもそうかと、昴は思った。 今まで悠里のことを考えず、夜な夜な悠里を求め、抱いたのだ。 悠里が昴を拒絶するのは目に見えている。 だが、悠里の想いは昴とは反対のものだった。 悠里は、首を大きく振り続ける。 そのたびに、目から溢れ出た涙が散っていく……。 |