好きと言えない。
第七話





chapter:想い、深く。





「ちがう。嫌わない」


 いったいどうすれば昴のことを嫌いになれるのだろうか。

 悠里にはそれがまったく判(わか)らない。

 嫌う方法があれば、そうしたいくらいだ。


 しかし、昴は何時だって優しくて、何時だって格好いい。

 悠里の中で、昴は誰よりも何よりも一番大きな存在なのだ。



「悠里?」


 ひたすら首を振り続ける悠里の頭上からは、困っているような昴の声が聞こえる。


 自分が困らせているのだと思えば、とても心苦しい。

 けれど、昴に何を言えばいいのか判らない。

 常に悠里の胸の内にある、『好き』という感情を言葉に乗せてしまえば、余計に昴を困らせるだけ――。


 悠里は胸の内にある想いを、けっして他言しないよう、小さな唇を引き結ぶ。

 もちろん、昴の表情など見られるはずもなく、目線はまた、毛布の上に戻った。

 しかし、悠里の気持ちはそう長くは隠せない。

 だから悠里は、自分の想いを話さない代わりに、昴の袖を、ぎゅっと握りしめた。

 その瞬間、微笑むような柔らかい雰囲気が昴から伝わってきた。

 恐る恐る見上げれば、薄い唇は口元は弧を描き、細い目をいっそう細くして、悠里を見下ろしていた。


「遠慮はしなくていい。俺は悠里の保護者だからな」

 穏やかに微笑む昴が言う。



――昴はいったい、何時まで自分の保護者をしてくれるのだろう。


 彼女さんと結婚するまで?


 結婚は何時するの?


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