好きと言えない。
第八話





chapter:拒絶。





 悠里は、自分のことをクラスの中で目立たないと思っていたのに、思いのほか皆が心配してくれることに驚きを隠せなかった。

 そして、こんな些細なことが、悠里の胸をあたたかくしてくれる。



 その日、無事に学校を終えた悠里は、意気揚々と家に帰った。



(昴に今日のことを話したら、なんて言ってくれるかな)


 今となっては日課となっている学校帰りの夕食の買い出し。

 食材を手に取りながら、そうやって、昴と過ごす、夕食のひとときで話す内容を考えた。

 それだけで、胸が弾む。

 夕食の支度も、心なしかいつもより手際よくできた気がする。


 悠里は味噌汁をつくり、買ってきた魚をグリルにセットして、昴が仕事から帰ってくる頃合いを見計らう。

 その間、学校を休んだ分の勉強を取り戻そうと、勉強机にかじりついた。




 いったいどれくらいの時間を、勉強机と向き合っていただろう。

 気がつけば、太陽は空から消え失せ、代わりに月が暗闇を照らしていた。


 悠里は慌てて勉強机にある置時計に目をやった。



(大変だ!!)



 悠里が焦ったのは、時刻は18時30分を過ぎていたからだ。


 昴は何時も、帰宅してからすぐに夕飯を食べて、風呂に入る。


 そのため、夕飯の用意を先に済まさなければならない。

 だが、魚を焼くのに最低でも20分はかかってしまう。


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