好きと言えない。
第八話





chapter:拒絶。





 悠里は、ことのほか勉強に集中してしまったと頭打ちをして、急いでキッチンへと向かった。


 無人のダイニングキッチンは、真っ暗で、何処か物寂しい。

 壁に埋め込まれている電気のスイッチを入れた。

 蛍光灯は、パチパチと音を立て、ダイニングキッチンを照らす。


 悠里はグリルに火をつけ、炊飯器を19時に炊けるよう、セットする。

 時刻は18時40分だ。

 昴が帰宅する、ギリギリでなんとか食事は調う。


 悠里は、ほっと胸を撫で下ろし、四人掛けのテーブルに腰を下ろした。


 テーブルの上で肘をついた悠里は、グリルと炊飯器の電子音を聞くと、すぐに立ち上がり、昴が何時、帰って来てもいいようにと、膳を用意した。





 いったいどれくらいの時間が過ぎただろうか。

 食事の用意は調った。

 気がつけば、時刻は20時をまわっている。

 昴はまだ帰ってくる気配がない。

 本来であれば、昴はすでに帰宅し、テーブルについている筈なのだ。

 けれど彼はまだ、悠里の前に姿を現さなかった。



(どうしたんだろう?)


 悠里の頭には、帰宅途中に事故にあったのではないか。

 何かトラブルでもあったのかと、一抹の不安が過ぎる。


(ううん、きっと大丈夫だよね)


 悠里は首を振って、おかしな考えを否定した。

(きっと、お仕事で帰るのが遅くなってるだけだ)


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