chapter:想い、打ち明けて。 「悠里(ゆうり)……」 薄闇色に染まった世界。 意識下から、自分を呼ぶ声が聞こえた。 昴(すばる)だ。 悠里は、自分を呼ぶその人が誰なのかをすぐに理解した。 「悠里……また、風邪をぶり返すぞ?」 悠里の耳に、そっと囁かれる優しい声音。 それでもいい。 その方がいい。 風邪をひけば――熱を出せば、昴はまた、自分の隣にいてくれるでしょう? 悠里は、いまだ蹲(うずくま)ったまま、心の中で彼に問う。 一向に閉ざした目を開けない悠里。 身体が突然宙を浮いた。 悠里は微かに瞼を開き、確認する。 どうやら昴は、目を覚まさない悠里に痺れを切らしたのか、悠里の身体を横抱きにすると、何処かへと向かって歩き出した。 向かった先は、今では勉強の時にしか使用していない、自分の部屋だ。 やはり、昴は自分を抱く気はないらしい。 そう思うと、悠里の胸は、張り裂けそうに痛み出す。 |