好きと言えない。
第十話





chapter:想い、打ち明けて。





 そんな悠里の心情を知らない昴は、意図も容易く、悠里をベッドに横たわらせ、自分から離れようと腕を引き抜く。


(いやだ。離れないでっ!!)

 昴が去ってしまう。

 そう思った瞬間、悠里の中で、何かが弾けた。



 悠里は、細い腕を伸ばし、離れていく昴の腕にしがみつく。



「悠里?」


 昴が、「離せ」と、悠里の耳元に訴えかけてくる。


(いやだ。離さないで。もっと傍にいて……)

 けれど悠里は、昴にしがみつく細い両腕を外さない。

 それどころか、先ほどよりも、しがみつく腕が強くなる。


「悠里、起きているのか? ……離してくれ」


 昴の言葉は、けれど悠里は、受け入れられない。

 そうしてとうとう、悠里の震える瞼が少しずつ開き、困惑を隠せない昴を映し出した。

 お願い。

 邪険にしないで。

 傍に置いてほしい。



「お願い……抱いて……ぼく。昴に……抱かれたい……」


 震える声で、そう言う悠里の瞳は揺れていた。


「悠里……もうこういうことはしない。すまない」

 昴は首を振り、きつくしがみつく悠里の腕を、引き剥(は)がす。

 けれど悠里は、いやいや、と首を振るばかりだった。


 悠里は、もう一度昴と繋がりたかった。

 それは、もう間もなく、昴は自分を捨てて遠くへ行ってしまうと理解していたからだ。




 小さな胸に、鋭い痛みが走る。


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