chapter:恋着。 度の強いアルコールが昴の喉を通り、胸を熱くさせる。 あっという間に空になったグラスを掲げ、再びバーテンダーに酒の追加を注文する。 ――すべては悠里を忘れるため。 ただそれだけだ。 だが、どうやったって悠里を忘れられることなどできない。 あの、少女のような茶色の澄んだ大きい瞳で見つめられれば、昴の胸は大きく高鳴り、胸が締めつけられる。 あの、小ぶりな苺の唇で昴の名を呼ばれれば、摘み取ってしまいたくなる。 それに……悠里の身体はとても甘く、しなやかだ。 昴が攻めたてれば泣きじゃくり、甘美な声で求めてくる。 こうして今、悠里を想うだけでも昴自身は勃ち上がり、彼を求めてしまう。 悠里を忘れることなど昴にとっては皆無に等しい。 それだけ、昴は悠里を想っていた。 しかしそれ故に、悠里という存在は、苛立つ原因になる。 悠里を忘れたいどころか、離れようとすればするほど、悠里への執着は増す一方だ。 「おま……飲みすぎ……」 樟葉は、昴の掲げたグラスを分捕った。 邪魔をするなと睨(にら)めば、もう帰れと告げられる。 自分から誘っておいて、早く帰れとは、なんと勝手な奴だろう。 「今日のお前、ほんとおかしいぞ? 家に帰りたくないって言ってるみたいだ。悠里くんと喧嘩でもしたのか?」 |